ああ南冥の空遠く

作詞　大高ひさを
作曲　陸奥明

ああ南冥の空遠く
瞼を閉じて思い見よ
月照る夜も嵐の朝も
夜を日に次いで戦する
尊き兵のその辛苦

大君の為国の為
赤道越えてなお万里
砲火を浴びて怒涛を衝いて
山また海を大空を
断乎と進む忠魂よ

ああ大戦果幾度ぞ
ラジオの前に平伏せば
涙は燃えて感謝に燃えて
父母妻子一億が
誓って拝む太平洋

若き日の夢

作詞　西條八十
作曲　古賀政男

楽しき野道を彷徨い行けば
麗しの二羽の白鳩
青き空より
君が肩に我の肩に
舞い来ぬと見ぬ哀れ夢かや
夢かは知らねど思いは残る
かの日の楽しさ若き日の思い出

暮れ行く窓辺に語らいおれば
愛らし蕾の紅薔薇
匂い優しく
君が胸我の胸に
咲き出でぬと見ぬ哀れ夢かや
夢かは知らねど懐かし愛し
かの日の嬉しさ若き日の月の夜

潜水艦日記

作詞　矢島寵児
作曲　倉若晴生

白い船足遥かに捨てて
基地を出てから幾日ぞ
赤い夕陽を波間に送りゃ
僕の見張りにゃ月が出る

思や無念だ大艦艇に
巡り合わせてくれなんだ
ハワイに散ったあの九勇士
偲ぶ瞼に湧く血潮

待てば嬉しや潜望鏡に
写る獲物に躍り立ち
撫でて頼むと魚雷に祈る
敵の商船狙い撃ち

北に南に夜に日を次いで
汗と戦う潜水行
敵の本土に風穴開けて
国の土産に送りたや

緑の小経

作詞　門田ゆたか
作曲　灰田晴彦

燃える緑の丘越えて
雲の彼方へ元気で行こうよ
若い命を彩る空の
空の青さに歌が湧く

森を巡れば木陰から
漏れる日差しよ小鳥の歌よ
虹がきららか千草の露か
露が讃える若い夢

花を浮かべて流れ行く
谷のせせらぎ愛しく聞こよ
早く渡れば広野が招く
招く地平の春霞

北洋の護り

作詞　清水みのる
作曲　利根一郎

霧に夜明けて吹雪で暮れる
北は荒波アリューシャン
春が来たとて夏だとて
銃を構えて立つ勇士

髭の氷を拳で砕き
御旗翳して睨む空
遠く祖国を離れ来て
雪に頼もしあの姿

オーロラ輝く生命線に
眉をきりりとますらおの
燃える血潮はツンドラに
花を咲かせる時は来る